個人事業主の方は、所得税の確定申告をする時「青色申告」か「白色申告」かの申告方法を選ぶ必要があります。
あなたはどちらの申告方法を選んでいますか?
結論としては「青色申告」を選択するべきです。
この記事では、個人事業主の方が青色申告を選ぶべき理由と、青色申告のために必要な「青色申告決算書」の作成について、詳しく解説していきます。
また、効率的な青色申告のためには、会計ソフトを導入することが不可欠です。
今、1番使われているクラウド型会計ソフトの紹介もしていますので、参考にしてください。
青色申告を選ぶ理由
税金が安くなる
青色申告を選ぶ最も大きな理由は、税金が安くなることです。
青色申告をすることによって、白色申告には認められていない以下の税務上の優遇措置が受けられます。
青色申告特別控除を受けられる
e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行い、複式簿記で記帳していると、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。
(電子申告も電子帳簿保存も行っていない場合は55万円、単式簿記の記帳だと10万円です。)
所得税率20%の場合、白色申告に比べて13万円の節税効果があります。(65万円×20%)
さらに、住民税や国民健康保険料も、青色申告所得控除後の所得金額をベースに計算されるため、低く抑えることができます。
事業専従者の給与全額を必要経費にできる
青色申告では、事業専従者へ支払った給与は、よほど高額な給与でない限り、全額経費にすることができます。
事業専従者とは、自分の事業にほとんどの時間を費やしている生計を一にする配偶者や配偶者以外の親族(15才以上)のことです。
一方、白色申告の場合、事業専従者への給与は、配偶者で年間86万円、それ以外の親族だと年間50万円までしか経費として認められません。
これを超えた給与については税金が課せられてしまいます。
専従者で年間86万円というのは、安すぎる水準だと思います。
家族で経営しているような個人事業主こそ、青色申告を選びましょう。
少額資産の取得価額を全額取得時の経費にできる
通常、取得した10万円以上の資産は耐用年数にわたって費用を按分し、経費に計上していきます。
しかし、青色申告の個人事業主の場合は、30万円未満の資産であれば、少額減価償却資産の特例を利用して、取得した年度に全額経費として処理できるのです。
パソコンや電化製品など10万円以上、30万円未満といったものは意外と多いのではないでしょうか。
白色申告では、この特例を利用できません。
青色申告は、税金の支払いを猶予してもらっていることになり、白色申告に比べ、キャッシュフローに余裕が生まれます。
事業所得の赤字を最長3年間繰り越せる
白色申告の場合、事業所得の赤字は翌年に繰り越されません。
仮に、昨年は災害の影響を受けて赤字になったけれども、今年は顧客が戻ってきてくれて黒字に回復することができたというような場合、今年の所得税については、昨年の赤字は勘案されず、あくまでも今年の黒字の所得に対して課税されます。
一方、青色申告の場合、赤字を最長3年間繰り越すことができます。
例えば昨年の事業所得が赤字であった場合、その赤字を今年以降の事業所得と相殺することができるのです。
災害等で大きな損失を出してしまったけれども、その後、事業が回復し黒字化することができたような場合の所得税の額が、白色申告より少なくなるため、事業の健全化も早く進めることができ、個人事業主にとっては大きなメリットとなります。
白色申告のメリットが縮小した
従来、税務上のメリットが少ない代わりに、帳簿の作成義務もなく、比較的簡単な方法で申告できることが白色申告の大きなメリットでした。
しかし、2014年以降、所得金額の多寡を問わず、すべての個人事業主に帳簿の作成と領収証等の保存義務が課せられるようになりました。
また、近年、青色申告をするためのツールやサービスが充実し、白色申告と比較しても事務作業の負担の差があまりなくなってきています。
会計ソフトやスマートフォンアプリを利用することで、青色申告の決算書の作成や税金の申告手続きを簡単に行えます。
また、青色申告に必要な書類や情報をオンラインで提出することも一般的になってきています。
青色申告と白色申告の事務負担に大きな差がなくなってきたので、あえて白色申告を選ぶ理由もなくなってきているのです。
複式簿記で記帳することのメリット
青色申告を選び、会計ソフトを使って帳簿を作成するということは、結果として複式簿記で記帳することになります。
複式簿記では、一つの取引に対して貸借(借方・貸方)が必ず一致するように記録するため、集計ミスや不正経理を発見しやすくなります。
また、複式簿記では、お金の出入りと財産の増減を一緒に見ることができるため、収益状況だけでなく、財務状況をも同時に把握することができます。
青色申告 (65万円控除) | 白色申告 | |
---|---|---|
事前申請 | その年の3/15まで | 不要 |
保存帳簿 | ・総勘定元帳 ・仕訳帳 ・現金出納帳 ・売掛帳、買掛帳 ・固定資産台帳 ・棚卸表 | ・売上帳簿(形式不問) ・仕入帳(形式不問) ・現金出納帳 ・棚卸表 |
保存書類 | ・請求書 ・納品書 ・送り状 ・領収証など | ・請求書 ・納品書 ・送り状 ・領収証など |
記帳方法 | 複式簿記 | 単式簿記 |
メリット | ・青色申告特別控除 ・事業専従者給与 ・少額資産の一括償却 ・赤字の3年間繰り越し | なし |
青色申告決算書
青色申告決算書とは
青色申告決算書は、青色申告をするために必要な決算書です。
この決算書には、事業の収入や経費、利益、資産、負債などを詳細に記載します。
青色申告決算書の構成
青色申告決算書は、損益計算書と貸借対照表から構成される4ページの書類です。
損益計算書は、収入と支出を分類して記入し、その差額が利益または損失となります。
貸借対照表は、資産と負債・純資産を分類して記入し、その合計が一致するようにします。
青色申告決算書を手書きで作成するには、専門的な知識が必要となります。
ただし、多くの会計ソフトには、自動的に作成する機能が備わっているので、誰でも簡単に青色申告決算書を作成することができます。
青色申告決算書は、確定申告書に添付して提出します。
青色申告決算書の提出時期
青色申告決算書の提出時期は、毎年2月16日から3月15日までです。
ただし、土日・祝日の場合は翌営業日が提出期限となります。
提出期限を過ぎてしまうと、青色申告特別控除や青色申告者の優遇措置を受けられなくなる可能性があります。
また、優遇措置を受けられないだけではなく、税務署から延滞税や追徴課税の処分を受けることもあります。
必ず期限内に申告を終えましょう。
提出期限に間に合いそうにない時には、早めに所轄税務署に相談しましょう。
会計ソフトの導入
会計ソフトを使うと、効率よく簡単に青色申告の準備をすることができます。
最近では、場所を選ばずタイムリーに経営情報を確認することができるクラウド型の会計ソフトが人気のようです。
個人事業主に人気のクラウド型会計ソフト3選
「やよいの青色申告オンライン」「free」「マネーフォワードクラウド確定申告」が個人事業主の方の人気を集めています。
やよいの青色申告オンライン
「やよいの青色申告オンライン」は、長年の実績とそれに基づく信頼があります。
請求書や見積書などの作成には別のサービスが必要です。
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free会計
「freee会計」は、請求書や見積書などの作成ができます。
電子申告や金融機関との連携も充実していて、経費精算機能もついています。
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マネーフォワード「クラウド確定申告」
マネーフォワードの「クラウド確定申告」は、AIが勘定科目を提案してくれます。
請求書や見積書などの作成もできます。
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クラウド型会計ソフト3社比較
クラウド型会計ソフトのメリット・デメリット
以下、クラウド型会計ソフトのメリットとデメリットです。
- どこでも確認できる
データをクラウド上に保存しているため、外出先でも確認できます。 - 時間を節約できる
煩雑な会計処理を自動化することにより、時間を節約できます。 - 正確性が高まる
経費の自動計算や仕訳の自動作成など、人の手を介する処理が減るため、正確性が高まります。 - 安全性が高まる
データをクラウド上に保存するため、データの漏洩や紛失の心配が減ります。
- 継続的にコストがかかる
月額料金や年間契約料金などが発生します。 - ネットバンキングを利用できる環境が必要
銀行口座と連携をするためには、ネットバンキングを利用できる環境が必要がです。 - 通信できる環境が必要
インターネットに接続できない場合は、クラウド型会計ソフトを利用することはできません。
クラウド型会計ソフトの使い方(手順)
クラウド型会計ソフトを使うことで、青色申告に必要な書類やデータを効率的に管理することができます。
以下では、一般的なクラウド型会計ソフトの使い方の手順を、紹介します。
- まず、クラウド型会計ソフトにアカウントを登録します。
アカウント登録後、自分の事業の種類や支払い方法を登録します。 - 次に、支出や収入の入力を行います。
レシートや請求書の画像を撮影するだけで、自動的に支出や収入を読み取ってくれる会計ソフトもあります。 - 支出や収入が入力されると、自動的に仕訳帳が作成されます。
これにより、青色申告決算書の作成に必要な取引履歴が整理されます。 - さらに、青色申告に必要な項目を選択するだけで、クラウド型会計ソフトは、青色申告決算書を作成してくれます。
以上のように、クラウド型会計ソフトを使うことで、青色申告の準備や決算書の作成が簡単になります。
青色申告に慣れていない方や、手間をかけずに青色申告をしたい方には、クラウド型会計ソフトの導入をおすすめします。
まとめ
青色申告を選ぶことで、税金を節約することができます。
青色申告決算書の作成は少し手間がかかりますが、クラウド型会計ソフトを導入することにより、効率よく簡単に青色申告をすることができます。
また、自動仕訳・自動記帳により、会計上のミスが減ることも期待できます。
さらに、経費の支出状況や財務状況などの把握が容易になり、経営判断をスピーディーに行うことができるようになるでしょう。
クラウド型会計ソフトを導入し、青色申告を活用することによって、税金を節約し、適切な経営判断ができる環境が整います。
FAQ
Q1. 青色申告決算書とはどのようなものですか?
A1. 青色申告決算書とは、個人事業主が青色申告を行う際に提出する書類で、所得税や消費税などの納税に必要な決算書です。事業の収入や支出、利益、資産や負債、純資産など所得の計算に必要な情報を詳細に記載します。
Q2. 青色申告をするメリットは何ですか?
A2. 青色申告のメリットは、納める税金が安くなることや、経費の計算ができるため収支の把握が容易になることなどが挙げられます。
Q3. クラウド型会計ソフトを使って、青色申告決算書を作成する場合、自分で全ての項目を入力する必要があるのでしょうか?
A3. クラウド型会計ソフトを使えば、支出や収入の入力から青色申告決算書の作成までを自動的に行うことができます。手動で入力する必要はありません。
もっと知りたいことや感想などありましたら、コメントしていただけると嬉しいです♪
最後までお読みいただきありがとうございました!